こんばんは。コオロギ社長です。
先日、昆虫食をこれから参入しようとしている人が、「昆虫食は高すぎる。だから普及しないんだよ。」と言っているのを耳にしました。僕自身も始めた時に同じようなことを思いましたが、実際やってみるとどんだけ頑張っても安くできないんです。決して、儲けようと思って値段を高く設定しているのではありません。
だから、安く売るのではなく、良いものを高く売る方向が暫定での最適解なんだと思います。僕自身ももっと安かったら手に取りやすいだろうな、と思ってはいるのは事実ですが…。でも、仮に安くしたからと言って買う人が増えるとは限りません。
そこのあたりを伝えたいなと思ってこの記事を書いてみました。
目次
なぜこの記事を書こうと思ったか
FUTURENAUTの製品も取り扱っていただいている、TAKEOさんがこんなツイートをしていました。
これからの時代を担うみなさんに向けた、春の昆虫食学割。
日時:2021年3月22日(月)~4月25日(日)
場所:実店舗限定(※ECは対象外)
割引:レジから20%オフ
対象:学生(学生証などの提示必要)、20歳未満の方https://t.co/CoTAVYgy3Y— [公式]TAKEO|昆虫のある食卓を (@takeo_tokyo) March 19, 2021
これを見た素直な感想として、すごい・・・と思いました。
これからの時代を担うみなさんは、私たちにとって特別です。みなさんがもっと昆虫食に親しんでくれるようになれば少しずつ状況は変わるはず。だから学割をやってみます。 ーツイートより抜粋
僕自身も常に忘れないようにしていることが、この食に関わる問題を自分事として捉えていくこと。食料の持続可能性や世界レベルの問題のことも最もですが、結局机上の空論ではなく、自分の実践や行動に結びつけていくことが重要だと思っています。
そんな学生や若い人が昆虫食品に興味を持つ若い人を増やすきっかけとして素晴らしい取り組みだと思いました。
昆虫食はなぜ価格が高いか
さて、なぜ昆虫食は高いのか、という内容に戻っていきたいと思います。
昆虫食品が高い理由として、いくつかあると思うのですがそれを整理していきたいと思います。
昆虫食品の価格が高い理由①
:原価が高い
なぜ原価か高いかというと、原料の昆虫そのものの値段が高いからです。例えば、コオロギパウダー100gの末端価格は1500円前後。小麦粉1kg250円に比べれば随分高い値段です。魚粉でも、100gが300円程度です。100gあたり1500円**ってどんな高級肉だよという感じです。
*…コオロギパウダーと小麦粉を単純に比較するのはおかしいかもしれません。
**…水分含んだ肉と乾燥したコオロギ比べるな!という意見はここでは受け付けません。
ちなみにFUTURENAUTは仕入れて販売しているので、末端価格より安い価格で仕入れていますが原価率もそんなに良いわけではありません。
この原料が高い理由(他の畜肉や魚粉に比べて)として、単純に生産量が少ない、ということが挙げられます。海外でも国内でもコオロギを養殖している業者は少なく価格競争が起こりにくいこと、大量に生産できないので価格が下がらないことが要因の1つです。
じゃあ、大量生産すれば価格が下がるのか、というとそんな単純な問題ではなく、昆虫食品の参入者が少ない中、大量生産して安くコオロギを生産したところで流通できなければ結局それは意味がありません。この辺りにジレンマを抱えています。
昆虫食品の価格が高い理由②
:販路が限られているから
昆虫食品は最近話題になっていると言ってもまだまだ一般的な認知はこれからです。スーパーやコンビニのような場所で日販品のような形で取り扱われる規模感になればまだしも、販売店や取扱店舗はまだまだ限定的です。となると、製造や流通のコストを下げることが難しくなってきます。
委託製造だから(FUTURENAUTの場合)
FUTURENAUTは委託製造でコオロギパウダー使ったお菓子に加工しています。いわゆるOEMですね。
でもこのOEMはロットが大きくならないと価格が下がらないんです。イオンとかのオリジナルブランドのように大量に作ればまだしも、少量では価格は下がりません。なので結果的に価格は上がってしまうのです。
最後に
昆虫食品普及のため、値段を下げていくことは1つの有効な手段なのかもしれません。製品開発している僕たちもしっかりと取り組んでいかなければいけない部分だと思っています。
でも、会社としてやっていくのには現状では価格を上げざるを得ないことをわかっていただけると嬉しいです。