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昆虫食の話

コオロギを使った昆虫食品開発は大変だった

 

目次

会社設立当時、2019年はまだ「コオロギ=食品ではなかった」

 

僕たちが昆虫食品を作り始めたのは2019年の夏頃。

コオロギパウダーの入手できることになり、

「なんとか国内で製造できるところはないか。」

そんな思いで県内・県外問わず食品製造事業所を探していた。

 

 

インターネットで、
「お菓子 OEM 持ち込み原料」
などと調べとりあえず電話をしてみる。

 

「あのーOEMでコオロギのパウダーを使って欲しいんですけど…」

「え、なんですか?コオロギって虫のコオロギ?無理です。」

 

話すら聞いてもらえないことも多々あった。

そもそも昆虫と食品の相性が悪すぎるのである。

本来、異物混入でクレームものだからである。

 

今でこそ、無印がコオロギせんべいを作り、
Pascoがパンを作り、
日経トレンディで上位にランクインし、
知名度や認知度を獲得している。

しかし当時はまだそんな商品はなく、
「コオロギ=食品」というイメージなどなかった。

 

見つからないコオロギ食品の委託製造先

 

でもどうにかして作りたい。

 

県内何箇所も店舗や事業所に直接行き、

話をするもどこもNG。

「○○さんなら新しいことやってるし手伝ってくれるよ!!」

などという、とてもありがたい紹介をいただき一縷の希望を持って行くのだが、結局NG。

 

もうこれは、いっそのことタイで作って輸入する方が簡単なんではないか。そう思うほどに玉砕したのである。

 

会社のメンバーと2人で手当たり次第、20件近くはあたりどこも引っかからなかった。

OEM先はたくさんあるのだが、そもそも少ないロットで作ってくれるような融通の利く委託製造先は少ない。

そんな中でコオロギを入れて欲しいというリクエストに応えてくれる製造先を探すことが難しいのである。

 

 

唯一見つかった委託製造先

 

そうして時は2ヶ月ほど進んだ秋頃。

ようやく、見つかった。

メンバーが問い合わせた地元の磯部煎餅のメーカー「田村製菓」さんが、委託製造を引き受けてくれることになったのである。

  

磯部煎餅というのは、安中市で伝統的に作っているお煎餅。

その土地の温泉水をつかい、炭酸成分でサクッと焼き上げたお菓子。

安中市は会社や大学がある高崎市の隣の市で温泉地としても有名な地域である。

そんな磯部温泉は、温泉マークの発祥の地とも呼ばれているらしい。

本当かどうかは知らないけど。

 

 

OEMで県内製造の昆虫食品「コオロギのゴーフレット」ができた

 

田村製菓の田村さんのご協力のもと、コオロギのゴーフレットは完成した。

 

もうちょっとコオロギだと明確にわかるポイントも欲しかったけれど、田村さんからの

「誰もが美味しいと思うレベルでないと」

というアドバイスをいただいたので、考え直して最初のコンセプト通りの「美味しく・見た目良く」を守って販売をすることに。

 

あれから2年後…

 

去年も何箇所か委託製造の問い合わせをしたのだが、随分と話が早い。

単純にFUTURENAUT自体の知名度が、少ないながらも上がってきたことが1つの理由かもしれない。

しかし、単純にコオロギパウダーそのものの普及が進んでいることも大きな理由の1つである。

今はとても昆虫食品の製造を頼みやすい。

「ああ、無印さんがやっていたやつですね」

と担当者の理解も早いし、話も早い。

 

まとめ

 

この2年で大きく昆虫食品への理解は変わってきたと思う。

これからもっと一般的な食品として普及していくように、
例えば、小麦粉やきな粉みたいな原料として使ってもらえるように品質管理や安全性についてもしっかり取り組んでいきたいと思っている。

FUTURENAUTの代表の櫻井です。 前までコオロギ君として記事をUPしていましたが、最近「コオロギ社長」と呼ばれることが多いので変更します。 これは昇格なのか?! 昆虫の見た目が苦手です。 でも苦手だからこそできる昆虫食の発信ができると思っています!